センセイの鞄/川上弘美

 本はあんまりたくさん読むほうではないのだけど、こっちきてから時間あるときはちょこちょこと。
 センセイと主人公が夢?で会っているときの情景で、

ざわざわと、窓外のクスノキがさわいでいる。いい季節なのである。雨は降りやすいが、その雨にクスノキの葉が濡れて、つやめかしい。

という文がとってもすてき。この後の静かな大展開を予感させるようなんだけど、情景としてこういう言い方ってあるんだなぁ、なんだか詩を読んでるみたいな。
 読んだ後の「ほんわり」とした味の残り方はお気に入りで、すばらしい。田口ランディさんの作品だと、自分の読み方は「あちらの世界に引き込まれている」といった身構え方をなんとなくしてしまっていて、「こちらがわ」とバランスとって健全な読書を進めるのも自分としては気に入ってます。
 あと積んでいる本は角田光代さんとか、けっこうあたらしめ世代の女性作家が多いのかしら。あと、山本一力さんも時代小説入門として積んでいるのですが、今のところまだ先の順番になりそうです。