バカの壁/養老孟司

 科学でも、宗教でも、一方的な一元論に陥るのはたやすい。でも、複眼的な視界を見開いていることが大切。
 個性は人間の身体や脳の機能上、限られたものでしかなく、教育で主題に掲げることは無意味という批判。むしろ、人を思いやることを重視したらどうか、という提案。もう一歩進めると、どこかで聞いた話で、「自分で考えて、率先して行動して、責任を取る人が多い社会は健全である」という意見もあるんだけど、世の中そうあるといいなぁ、と漠然に思うところからどれだけ踏み出すかがカギなんでしょうね。「人生に意味はあるに違いない」と言い切るところは気持ち良い。