IDOL is DEADのPV

BiSの新曲、IDOL is DEADのPVが公開され、感想などメモがてら。


 見る前にツイッターでは囚人服、骸骨、ギロチンとかのモチーフが流れてきて、これまで追ってきた過激さを売りにする方向なのかなあというのと、タイトルがタイトルだけユケの脱退とか脳裏に浮かんでまた一騒動あるのでは、とけっこう身構えてました。
 特に、死をテーマに取り上げるのはとても難しくて、トラウマっぽいの残すのにどこまで迫れるか、という期待と不安が交じる。だってさー、オフィリアは自殺して川流れるし*1キルケゴール死に至る病に絶望を見出したし、朝比奈さんはMUに憑依して愛する綾人に殺される*2し、綾波はシンジのために自爆するし、そういう表現を今見るよりは、BiSちゃん可愛いーー!生き生きと生命感あふれる光と影サイコー!!とか言ってるほうが気が楽だもん。


 で、第一印象としては死を明確に表現したものではなくてホッとしてます。ギロチンの鋭利な刃やその下に置かれたのぞしゃんが叫ぶシーンは狂気迫るけど、突然5人首切られて立ち尽くす姿は前後の文脈と分断されて死体としてのリアリティが薄まってる(や、リアルに描くのが良いということではなく)。むしろ、フォーカスされているのは5人が囚人服姿でバット振りかざし、骸骨を地面に引きずって暴れる姿。バイオレーンスな描写だけど、その矛先が具体的な他者に向かっているわけではなくて、過激さを売りにするアイドルというBiS自身を取り巻く状況や、それに巻き込まれる自分自身との闘いであるように感じたかな。


 PVの中で映される、英文を拾ってみると以下のようなもの。汚い言葉が並ぶけど、殺したいとも死にたいとも明確には出ていなくて、自身を呪い見えない何かに悪態をついてるように見えます。

IDOL is DEAD
sick and sick and sick and sick
feeling sick and dirty, make dead than alive
I know a dirty word
turns me on all my violence is gone

 特に結論を出すつもりもないのですが、アイドルの枠、とりわけ表現に課される制約を打ち破りたいという意思表明かなと思ってます。これまでのPVでさんざんやってきたじゃん、というのもあるけど、それぞれキスだったり裸だったり、ヤンキーとの闘いといったテーマが設定された中での表現だったのが、今回はBiS自身が取り上げられてる。だから、メンバーの表情や仕草の一つ一つが意味持ちうるように思うし、この作品で本人たちが表現技術を獲得していく様を大切にしたいです。

 曲についてはロックをちゃんと聞く耳を持ってないのですが、前編シャウトで歌を放棄しつつ、キーボードのメロディが取り上げられてバランスとってるのかな、BiSとしてはこれまでなかった、ある種のキャッチーさを感じた。客側も口上みたいのシャウトし続けたら面白いかな、とか、リリースまで楽しみにしています。



IDOL is DEAD  (ALBUM+DVD) (映画盤)

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IDOL is DEAD  (ALBUM+DVD) (Music Video盤)

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