OTOTOYの夏休みアイドル研究室スペシャル 〜夏休み自由研究発表会!!〜 @UPLINK Factory

 6月から7月にかけてBiSが生徒役で授業参観と銘うって公開講座をやったOTOTOYの学校。開始をめぐっては立ち上がり時期ゆえの参加者との軋轢がみられた(というか運動決意した張本人ですが)ものの、授業自体は丁寧に資料をみながらひとつの分析を試みるという、なかなか得難い講座だった。
 その全4回の授業の総まとめとして、BiS本人たちが自由研究した成果を発表するというもの。チーム分けはプー・ルイとヒラノ ノゾミが「チリ巨乳」、ナカヤマ ユキコとテラシマ ユフが「W(ダブルユー)」。仕事終わって即渋谷向かって整理番号11、平日に早く出るのはちょっと厳しいが、何とか2列目のセンターあたりに座る。
 内容は準備された仮曲に歌詞とダンスを振付けてパフォーマンスを披露することと、その後パフォーマンスを造る過程について授業から学んだことを交えてプレゼンを行うというもの。自給自足を標榜するBiSが、その制作プロセスを一部公開するという、ファンにとっては興味深いもの。
 プー・ルイが負けず嫌いな性格がもろに出たというように、プレゼンではアイドルグル―ごとの恋愛曲の傾向の分析やグループとしての売りどころを矢継ぎ早にまくしたてる。いつもライブだとひょうひょうとしているから、こんな対抗意識燃やして必死さを出している姿は見たことがなかった。それは他メンバーも同様で、のんちゃんはガチガチになってたし、ukは「老若男女」が発音できないほど舞い上がってた。ステージでプレゼンとか経験ほぼないだろうし、最終的に公開の場で評価を受けるというのも緊張を高める仕掛けになってる、試練の場所になっていた。それは、通常ライブの形態では見せない素に近いものがどうしても出てくる。
 パフォーマンスとして、プー・のん側は抽象感ある含みを持たせた恋愛途上にある女の子を描いたもの。ダンスはあまり印象に残らなかったが、猫型の手袋をしていたのは緊張を和らげるためとか。ユケ・ユフ側は電話にまつわるエピソードを載せた具体的な歌詞に指さしやサイドステップなど入れた立体感あるもの。こうも対照的になるのかとゾクゾクした。

 結果としては「チリ巨乳」チームが1票差で勝利。マネージャーさんの「小さくまとまろうとせず伸びしろを感じさせた」というコメントが、かなり自分の印象に近い。12月にリキッドルームでワンマンを実施するという、常識的には考えられないスピードでステージの規模を一気に上げるスケジュールを組んで、徐々にファンを増やしているとはいいながら、現状に甘んじてる余裕を持たないという、切迫感というか真剣にその成功を目指している。ハーメルンの笛吹きと言われかねないし実際そう見るのは簡単だけど、運営側はその戦術をこちらが思うよりずっと切実に考えてる。それと、これまでの授業でやったアイドルの技法を咀嚼して身に着けながらも、そこに留まらず更に新しい表現形態を徹底的に追及していること。パプリカやMy IxxxのPVでアイドルがキスするなり裸になるなりっていう表層的なところで話題はふりまくわけですが、実際見てみるときちんとコンテクスト抑えてるのは驚くべきことで、アイドルの制約は始めから考慮せず、むしろいいものつくることを優先して関係者が意識的に実践しているのだと思う。
 そんなことで、BiSさんの今後について強く意識させられたイベントでありました。やっぱり12月まで夏が終わりそうにないですね。