お人形と魔法のレストラン/Cutie Pai

 年末年始でかなり聞いてました。リリース済の曲は6曲、それに4曲の新曲と、オープン/クローズ含めて12曲。ライブ等で繰り返し聞いて来た曲含めて、通して聞くと新鮮味がまた出てきて、改めて2年7ヶ月ぶりのアルバムを噛み締めておりました。

 『オープン』の声の主はやはりあのかたですね。Cutieらんどの六ツ星レストランって格高過ぎだろ!と席に案内いただく。
 『テクノ*ドール』ではお人形がブリスターパックを脱ぎ捨てる設定だけど、心の壁取り払って恋を始めようとする様子。秋葉原バイバイ!ってフレーズが場所によっては刺激的になります。
 『トゥルルンテレフォン』は可愛さが際立つ。まだ恋することに恋してる一方的な思い、それを徹底した末、最後に携帯が鳴るのはある種の浮遊感を覚えます。
 『SA』に入ってその浮遊感を更に高くまで連れていってくれる。夢に恋を抱いて、恋愛を始めようとする意志を強める。キャンディーのラップパートでお人形だったことを過去に描いてるのが、またリアルな恋人の到来を思わせるよね。
 ミドルバラードの『スピカ』では相手を愛おしむ想いを深める。スージーとのハーモニーがミュージカル観てるようなドラマティックな演出。
 『プラモガ』と『Desktop my Girl』は方向性は違うけど駆け引きソング。女性の視線から描いてるけど、どんな風に言葉かけるか、歌詞覚えて実践するよ。「気持ちいいトコへ行って」の溜めがくーっと長いところとかたまらん。
 センシュアルな『Yellow』は異色なドスケベソング。愛していることをほぼ確信しつつも移ろい易いことへの不安が同居する。結果、終盤の防波堤でのモノローグを聴いてたら萌え死ぬ。polymoogさんのブラックっぽいベースラインや、ピアノの使い方がいわゆる渋谷系を思い出して、まゆちゃんの得意エリアでもあるよね。
 それまで重ねて来た想いは『MAGNET LOVE』で鮮やかに華開く。ここまで聴いてキャンディーの「宇宙で1番だから」にきゅんと来ない人がいたら、小一時間説教したい。告白のタイミングはおそらくこの曲中。
 『プロペラ』では結ばれた二人が飛翔していく。端々に相手を思いやり慈しむ言葉がちりばめられて、きわサソとKaori★nのパート、コーラスが高鳴る胸に一層厚みをもった強さに変えていく。
 そして『eve』は言わずもがなですね。二人で過ごすクリスマスに、爪の先までときめいちゃってください。
 と、つらつら書いてきましたが、『お人形と魔法のレストラン』で描かれるのは恋愛する気持ちになって、アタックし、駆け引きし、結ばれて幸せになるまでのプロセスとその中での感情そのもの。これだけストーリー性を持ったアルバムってめったに聴けるものではないし、アルバムを聴くことそれ自体の楽しみを思い出させてくれました。ここまでのものを制作してくれた神崎真由美さんにとにかく感謝です。大事に聴く。

お人形と魔法のレストラン

お人形と魔法のレストラン